ガイド養成学校を目指される方へ


社団法人日本アルパインガイド協会
専務理事 勝野惇司

当協会のガイド養成学校をご検討いただきありがとうございます。入校に当たって、ご自身の目的や希望が明確であるか、現在おかれているご自身の立場は、年齢は適当であるのかをを今一度お考えいただきたく、この文書を記した次第です。

ガイドとは、危機管理がその大きな仕事と言える訳ですが、危険を熟知していなくては危機管理を行うことが出来ないとも言えます。このことは非常に重要で、危険と認識出来る知識は豊富な登山経験から培われるものと、実際のガイディングを通じて得られるクライアントとの関係・経験から得られるものとに分けることが出来ます。

つまり登山経験だけではガイディング中の危険を全て認識できるとは言えません。そのため日本アルパインガイド協会では、ガイドとして認定するに当り、書類審査の段階で一定以上の登山経験があることを求めます。これはとりもなおさず、登山経験はイコール、山岳での危険の知識があると考えるからでもあります。

また様々なガイディング中の危険に対応する手法としてガイド技術が確立しています。このガイド技術についてはガイド研修を通じてその技術を身に付けます。その上で実際のガイディングを通してより確実な危機管理が出来るようになります。つまり、AGSJのガイド養成で、登山経験とガイド研修、アスピランガイドとしてのガイディングの経験を求めるのは、この危険の熟知と対応能力を養うことを目的としているからです。

さて、それでは実際の研修を通してアルパインガイドとしてオールマイティにガイディングが可能になるにはどの程度の研修期間が必要なのでしょうか。ざっくりとした私の思いでは、4~5年の研修期間が必要となるのが現実です。多くの登山経験がある方でも、さらに多くのガイディング技術の修得が求められます。今まで身につけてきた、登山技術の何割かを考え直すよう求められることもあるでしょう。そんな中に身をおくと、年齢と言う障害が見えてきます。60歳で会社の定年を迎えられ、退職後にAGS-Jのガイド認定を目指されると早くて62歳、遅かったら65歳になってしまいます。このことは実際のガイドとして活躍できる期間が著しく短いことを表しています。しかも途中で挫折しなかったらの話です。

当協会は、登山経験の多くある方を即ガイドとして認定すると言うことは、前述の内容通りありません。ガイド技術を確実に実践できるまでは研修が終わらないことも理解しておいていただきたいと考えます。

よって、ガイド養成学校への入校時には、明快な目的意識と努力が必要となると言うことを是非ご認識してご応募ください。特に年配(60歳以上)の入校希望者は今一度お考えの上お申し込み頂きたくお願いするものです。

以上

原文PDF
http://www.agsj.org/trainingschool/gaidoyouseigattkou.pdf